今年の秋の陶磁器まつりも

穏やかな天候に恵まれて

たくさんのお客様にご来店いただきました

ありがとうございました

荷の送りもやっと落ち着いてホッとしましたが

気づいたら もう 12月です

工房は お休みなく 急ピッチで 轆轤がまわっています

どんどん 削りが作業がすすんでいます

今 高台の底の部分の削りです

きれいに角度を付けて 丁寧に 仕上げています

釉薬をきれいに掛けるために わずかな角度を付けているのです

細部にわたるまで 気を掛けて 丁寧に 作業は続きます

口当たりをやさしく スッと お口に入りやすいように

縁もなるべく 薄く 繊細に気を配りつつ 削ってゆきます

手に持って 触れて 口に当てて 気持ちよく

器を使ってもらえるように

細部にわたって 丁寧に 造っています

全ての削りの作業が済むと 今度は 水拭き作業が待っています

せっかく ここまで仕上げたものを 割らないように

丁寧に 全体を拭いてゆきます

ふふふ・・・

嫁いできたばかりの頃は 右手で拭いていると

器を持つ左手に力が加わって 持っては割れ 持っては割れ

しまいには 足りなくなって また 夫に造り足してもらわなくてはならないという

トホホの毎日でした

水拭きは 工程の中で 数回繰り返しますが

削り後の水拭きは 削りで使ったカナの削り跡の凹凸を

きれいに仕上げるために 水を含んだ サラシを折りたたんで

きれいに 丁寧に ふきあげていく作業です

ときどき 繰り返される手作業に 現代の機械や型で作られるものと

違いを分かってもらえるのだろうか・・という思いが

フッと よぎることがあります

個展をするときに 前日会場に作品を並べているのを

手伝って下さる社員の方が

「あ~あ やっぱり いつみても 作品がきれいで丁寧すね~」と

作品をみて 言っていただきます

それは 目の肥えたプロの方が口にする言葉です

そうではない 毎日さりげなく使っていらっしゃる方にとっては

どれだけの方に 理解してもらえるのだろうか・・・と思う時があります

先日の秋の陶磁器まつりに

「春の陶器市にも伺いまして また来ました~」と ご来店いただいたご家族の事でした

「春にお兄ちゃんがお飯碗を買って帰って 毎日ご飯をよそおっていただいているんですけど

妹も 今回どうしても欲しいと言いまして・・」と 言われます

お兄ちゃんは 春の受験でお見えになりませんでしたけど

小学高学年の妹さんは おとなしそうで 可愛い お嬢さんでした

こんな小さなお嬢さんが うちの器を好んでくださるのかな~と

興味をもって ちらちらと 様子をうかがっていました

お嬢さんが選んでいらしたのは

窯でしか売っていないアウトレットの品が入った 箱の中のものです

しばらくして 「どうするの?」と お母さんがたずねられると

「かう!」と 即 応えられました

持ったり 触ったり 厚みをみたり

手のひらにのせて ジッと 曲がりがないか点検し

ホクロや えくぼの位置をじっくり 時間を掛けてご覧になっていました

その様子を ご両親も何も言わず 黙って見守っています

そして ニコッと笑って

「これにします」と ひとつのお茶碗を選んでいかれました

子供の澄んだ目は 間違いなく 自分の気に入ったものを選んでいかれました

あんな 小さなお嬢さんが 選んでいってくださった

胸に あついものを感じました

分かってもらえる そう あらためて 感じたのです

今夜も 遅くまで 轆轤の音が響いています

待っていらっしゃる方に

少しでも 良い作品を 生み出して 送り出さなければなりません